林雅之 写真展 「the secret life of mannequins」
今週のルデコで行われていた写真展は林雅之さんの個展のみだったのだが、その展示があまりに強烈で秀逸だったので感想を残しておきたい。
「the secret life of mannequins」というタイトルはなんら比喩ということではなくて、展示されている作品は倉庫に保管されているマネキンたちの姿を収めたものだ。倉庫に保管されているマネキンは場所を取らないようにウィッグと両腕を外され、ポーズだけはデパートなどで見る姿のまま暗がりに並べられている。なかには放置されて廃棄同様の扱いを受ける無残な姿のものもあった。
展示されているフロアに入ってまず受ける印象は「異様」としか表現のしようがない。が、それこそが林さんの表現意図であることは間違いないだろう。人を模したその造形は、一つ一つの個体に人格が宿っているかのように錯覚させるが、無機質で欠落の多い彼女たちの姿は、あるいは死体すら連想させるかのようである。また、彫刻などの芸術作品と違って、彼女たちは自分自身が主人公になることを目的として作られてない。それ故なのか、写真に撮られたときにまるで戸惑いや拒絶の表情を見せたかのように感じられもした。
プロの写真家の方の作品に対してこのようなことを言うのはかえって失礼に値するかも知れないが、全編を通して世界観にブレがないことや一枚一枚の写真の質の高さには感嘆する。これだけのクオリティの作品を無料でかつ気軽に見ることが出来るのだから、この写真展は写真を学ぶ者にとって大変にありがたいものだと思う。
写真展詳細
林雅之 写真展 「the secret life of mannequins」
- 作者: 林雅之
- 出版社/メーカー: パロル舎
- 発売日: 2005/05
- メディア: ハードカバー
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