東京工芸大学報道写真部 学外展
東京工芸という大学は写真をやってる者にとって東大と同じような“ブランド力”がある。先日第35回木村伊兵衛賞を受賞された高木こずえさんも同大学の卒業生だし、その他多くの写真家を輩出してきた超名門校だ。
しかしギャラリー・ルデコの6階で写真展を開催していた彼らは、そのブランド力に甘えず真摯に写真に向き合い、また名門の名に恥じることのない素晴らしい展示を行っていた。
まず第一に、報道写真である以上は当然なのだろうが、テーマを持ってそれぞれの作品を撮っている点が素晴らしいと思う。また、一枚一枚の写真には、そのテーマを伝える技量と構成力を確かに感じることができ、どれも大変に見応えのあるものだった。
以下に東京工芸大学報道写真部学外展で特に印象に残った方々について書いておきたい。
管泉亜沙子さん 「風化する戦争の記憶」
旧日本軍が使用していた設備や、空襲の傷跡を残した狛犬や電柱など、街中に今なお残る戦争の痕跡をモノクロで撮った作品。画面の中に必ず現代の人々の姿を添景として入れてあり、時代の移り変わりと、現代に生きる我々が大きな犠牲の上に生きていることを実感させられる。
前田梨花さん 「YELL」
スタジアムでサッカーの試合に熱狂するサポーターたちをモノクロで捉えた作品。懸命に声援を送る人々の表情や、スタジアムのダイナミックな広がりが上手く捉えられている。また、併せて置かれていたブックには大学バスケリーグの模様が収められており、こちらも瞬間の捉え方に目を見張った。
盛満侑斗さん 「彼女らの持つもの」
駅などで女子高生の姿を撮ったモノクロの作品。よくぞ捕まらずに撮り抜いた。恐れないことは報道写真家に最も必要な素養だ。捉えられた女子高生たちは皆、携帯を手にしていたりあるいは誰かを待ってたりする。良く整理された画面を通して、他者とつながっていたい彼女たちの心理が伺えるようだ。