ブロニカSQ用オートベローズを入手した

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 1

 新橋イチカメラhttp://auctions.yahoo.co.jp/にて出品していたゼンザブロニカSQ用のオートベローズSというものを落札した。
 カメラに装着するとまるでバズーカ砲のような姿になるが、ベローズとはレンズを繰り出すことによってフィルムに到達する像を光学的にクロップし、相対的に被写体を拡大させる装置だ。カメラ本体側とレンズマウント側は蛇腹でつながれていて、ガイドレールに沿って伸び縮みさせることができる。レンズを繰り出せば繰り出すほど拡大率は大きくなる。通常のレンズ単体では不可能な超近接撮影を可能にしてくれる、ブツ撮りや複写撮影などで重宝する装置だ。
 落札価格は15,000円。状態は並品か良品といったところだが、蛇腹も綺麗で今のところ実用上の問題は一切ない。

 商品が手元に届いた翌日に早速試し撮りをした。本当はポジで撮りたかったが手持ちがなかったのでPORTRAを使用。最小・最大繰り出し時でそれぞれ、絞りF2.8(開放)・F16にして計4パターン撮ってみたのでファインダー像と併せて比べてみよう。使用したレンズは80mmでピントは無限遠

最小繰り出し

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 2

 右の写真が蛇腹を一番縮めた状態でのファインダー像。iPhoneで撮ったためか肉眼で見たよりも明るく写っている。実際はもう一段程度暗く見えていた。
 手元に資料がないので最小繰り出し時の撮影倍率については分からない。また、ベローズや中間リング、テレコンバーターといったレンズアクセサリーを使用すると、通常撮影時よりも光の量が減ってしまうので露出を補正してやらなくてはならないのだが、こちらはブロニカの他の機種用に作られたベローズの資料などを参考にして最小繰り出し状態での露出係数は1段としつつ段階露出を切った。

絞り:F2.8(開放)

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 3

 レンズの解像限界かミラーショックによるブレか、そもそもピントが合っていないのか。開放ではかなり甘い描写になってしまった。特に前ボケが流れ気味なのと輪郭が滲んでいるのが気になる。

絞り:F16

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 4

 16まで絞るとシャープで立体感のある描写が得られた。今回の試写の中ではこのカットの写りが良いように思う。

最大繰り出し

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 5

 最大繰り出しにするとファインダーはかなり暗く、正確なピンと合わせが難しいほど。iPhoneで撮っても十分に暗く見えるが肉眼ではさらに暗く見えた。
 しかし撮影倍率はものすごい。拡大するとはつまり、より狭い範囲の光だけを集めるわけだから、その分だけ光量が減る。最小繰り出し時よりもさらに長い露光時間が必要になるが、露出に寛容なネガなら大雑把でも大丈夫だろうと露出係数は4段とした。

絞り:F2.8(開放)

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 6

 被写界深度は非常に浅い。意図的にソフトな描写を求めない限り、開放で撮る必要はないだろう。

絞り:F16

Automatic Bellows with ZENZA BRONICA SQ 7

 16まで絞ってもピントの合う範囲はとても狭いが、写りは良いように思う。不自然に明るくなってしまってるのは、カメラの操作を誤ってコマ被りさせてしまったためだ。

まとめ

 ベローズは常用するようなアクセサリーではないが、一枚の写真を撮るのに大変な手間と時間がかかるので、じっくりとブツ撮りなどに取り組みたいときには向いているのかもしれない。一枚一枚丁寧に写真を撮るのに、この大仰で面倒な装置がかえって撮影への集中力を高めてくれるのだ。
 今回は屋内の光源の安定したところでブツ撮りをしただけだが、いずれは外でも使ってみたい。今のところ具体的に撮りたいものがあるわけではないが、屋内とは違って風や光源などの複雑な条件が撮影をより面白くしてくれそうだ。見た目がかなり怪しいので職務質問などを受けないようにしなくては。
 と、この記事を書きながらベローズについて調べていたら、海外のサイトにマニュアルをPDFにしておいてあるところを見つけた。英語のマニュアルだが、撮影倍率や露出係数は一覧表になっているので分かりやすい。ブロニカの他のカメラやアクセサリーのマニュアルも置いてあるようなので、是非共有しておきたいと思う。